那須烏山ジオパーク構想

 4 人と自然のかかわり

 人の営みの痕跡は地形や地質の中にも見つかります。この地域には古墳時代の横穴墓が数多くあり、すべて荒川層群の凝灰岩層を掘削しています。近世~近代には曲流した河川地形を生かした農業用水用トンネル(耕便門)や人為的に流路を掘削し新田開発を行った「川廻し」の跡と思われる事例もあります。近現代にはマンガン、亜炭、珪藻土などの採鉱が小規模ですが行われていました。現在、日当たりの良い浅い用水路に生育するシモツケコウホネやかつての薪炭林に生育する氷河期以降の生き残りの株立ちのブナが見られ、小扇状地でのソバ栽培や豊富な水を活用した紙漉き(烏山和紙)や酒造りなども行われています。
谷津地形と田んぼ
谷津地形と田んぼ(②森田・小塙サイト)
  • 丘陵に細長く田の入り込んだ地形。
  • 尾根にはアカマツ林やヒノキ植林地、中腹には雑木林やスギ植林地、沢やため池周辺には湿地性の植物群落、土手には草原性の植物群落が見られます。
  • ほたる、カエル類、カブトムシ、クワガタ、ミドリシジミなどが生育しています。
株立ちのブナ
株立ちのブナ(⑥藤田サイト)
  • ブナは、温帯林の代表種。水平分布では、北海道から九州まで日本全国に分布します。また、垂直分布では、標高500~2,000mの山地帯や亜高山帯に分布しているようです。
  • 標高120~170mという、この場所のような中央平野部に存在することはめずらしく、「第四紀氷期の残存ブナ」ではないかと考えられています。

栃木県内にのみ自生するシモツケコウホネ
栃木県内にのみ自生するシモツケコウホネ(⑩熊田・下川井・志鳥サイト)
  • シモツケコウホネは、2006年、日光市小代で新種報告された水草です。
  • 小河川や用水路に生育し、現在、世界では、日光市、さくら市、真岡市、本市の4ヶ所のみ確認されています。
  • 開花時期は6月~10月で、黄色い花をつけます。
  • 2012年、種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全に関する法律)で国内希少野生動植物種に指定されました。
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